【全3回】令和8年度診療報酬改定

【第1回】令和8年度診療報酬改定

看護管理者は何から手をつける? ―評価の軸が変わった

 

令和8 年度の診療報酬改定は、本体改定率3.09%という約30 年ぶりの高水準となりました。そして今回は単なる点数の見直しではなく、「物価・賃金高騰への対応」と「2040 年を見据えた構造的変革」という二つの大きな柱を持つ、医療提供体制そのものを変える改定です。

特に看護管理者にとって大きいのは、評価の軸が「病棟単位の看護配置(7 対1・10 対1 など)」から「病院全体の機能実績(救急搬送件数・手術件数など)」へと大きく転換したことです。

「自分たちの病棟は、これからどう評価されるのか?」「日々つけている看護必要度のデータは、これからどう活きるのか?」

このシリーズでは、看護マネジメントの視点から今回の改定を読み解き、現場で取り組みたいポイントを3 回に分けて整理します。第1 回は、評価の「軸」そのものがどう変わったのかを見ていきましょう。

 

1. 評価の主役が変わった ―「割合指数」と「救急患者応需係数」

これまでは病棟の看護配置そのものが評価の中心でしたが、これからは「割合指数」という新しい指標が登場します。

 

該当患者割合指数の基準

割合指数 = 該当患者割合 + 救急患者応需係数

 

ポイントは、従来の重症度、医療・看護必要度の「該当患者割合」に、救急の受け入れ実績を示す「救急患者応需係数」が上乗せされること。

救急患者応需係数 =病床あたりの年間救急搬送受入件数 × 0.005(上限10%)

この係数は、

• ① 病院全体の年間救急搬送受入件数

• ② そのうち、自分の病棟(入院基本料算定病棟)に入院した患者の割合

• ③ その病棟の病床数

の3 つで決まります。係数を上げるには①②を増やすか、③を減らすか――つまり「救急をどれだけ受け入れ、自分の病棟がどれだけそれを受け止めているか」が問われる時代になったということです。

 

現場で考えたいこと

 

• 重症度、医療・看護必要度は正確に評価できているか

• 救急患者応需件数は正しく計算されているか

• 「自分の病棟」だけでなく「病院全体」の実績で評価される、という発想

  に切り替えられているか

• 地域における自施設のポジショニングや救急シェアを分析し、救急受け入

  れ体制を見直す

• 看護必要度データを使って、救急搬送患者がどの病棟に入院し、どんな重

  症度のバランスになっているかを「見える化」する

 

2. 看護必要度のA・B・C 項目、評価のしかたが変わる

 

A 項目・C 項目では、対象となる治療・検査・手術が拡充され、内科的処置(中心静脈注射用カテーテル挿入や腰椎穿刺など)もC 項目として評価されるようになりました。「生活の困難さを見るADL 評価(B 項目)」から「より医学的な処置の評価(A・C 項目)」へ、というシフトがさらに進んだ形です。

一方で、B 項目の測定方法は「毎日測定」か「測定日選択制」 か、病棟単位で選択することが可能

となります。

安易な測定日選択制の導入は,多職種との情報共有の質低下や,「看護・ 多職種協働加算」の算定要件(患者状態の半年ごとの見直し)への影響が 懸念されます。評価日の不定期は、ADL の急変に気づかないリスクを伴います。

B 項目の変化は,毎日把握できる体制を!!

 

現場で考えたいこと

• A 項目の院内研修は「コード型」だけでなく「標準型」で。コード型だけでは「薬剤が使われたこと」しか分からず、アセスメント力が育ちません。

• B 項目の研修は「評価の手引き」を確認しながら。施設基準から外れても記録は不要になりません。

• C 項目は、実施場所(手術室・内視鏡室等)と評価場所(ナースステーション)が違うことを踏まえ、関連部署と一緒に研修を行う。

• 評価エラーの定期チェックなど、院内監査の仕組みを整える。

 

 

次回(第2回)は、「看護・多職種協働加算」と、B 項目を使った多職種協働・人員配置の話です。